スラックスの裾はダブルがおすすめ!結婚式はシングルが正解なのはなぜ?

スラックスの裾はダブルがおすすめ

メンズスラックスの専門メーカーエミネントがお届けするビジネススラックス&カジュアルチノパンツ通信。

スラックスの裾が、折り返しのダブルになっている仕様がお好きな方も多いのではないでしょうか?

この仕様で、結婚式に行ってはいけない!というのはご存知でしたか?

ルールだから?いや、理由があるのです。なぜなんでしょう?

結論!スラックスの裾  ダブルはカジュアル

結論からいえば、スラックスの裾のダブルはカジュアルな意味を持っているんです。

それは、もともとボート遊び(カジュアル)の時のスタイルだから。

だから、結婚式などのスーツスタイルではシングルの方が良いとされています。

これは辿っていくと深いので、詳しくご説明します。

スラックスの裾には、シングルとダブルがある

スラックスの裾 シングル
スラックスの裾はダブルがおすすめ

スラックスなどのパンツの裾の仕様には、シングルやダブルがある。
ダブルというのは、折り返された仕様で、

ターンナップカフ

ターンナップス

ともいう。

また、専門的には、

・マッキン

・カブラ

とも呼びます。

ちなみに、シングルもダブルも日本での呼び名(和製英語)なんです。

この記事では、わかりやすくダブルと呼ぶことにします。

ダブルはどうしてカブラと呼ぶのか?

スラックスの裾はダブルがおすすめ

明治初期に、日本の洋服師はこのターンナップに出会いました。

しかし、このターナップス(ターナップ)の意味がよくわからなかった。

そこで英語に精通した先生に聞いてみることにした。

洋服師「先生、ターニップとは何でっしゃろか?」

先生「ターニップゆーたらそら、カブラのことやがな。」

洋服師「なるほど!カブラ(蕪)でございましたか!」

こうして、カブラという名前になったのだった・・・

ターンナップを、ターニップと発声してしまったがために・・・。

現代のように紙に書いて伝達したり、メールなどの文章でコミュニケーションを取る時代では考えられないような話ですが、外国と言葉でやりとりをしていたためにこんなことが起こるのです。
他にも、ワイシャツという言葉も、「ホワイトシャツ」という言葉を「ワイ・シャツ」と聞いてしまったことからはじまっているというのも有名な話ですね。

スナップボタン留めと糸留め

スラックスの裾はダブルがおすすめ

スナップ・ボタンで留めてあるもの(スナップ留め)や、糸で留めてあるもの(糸留め)があります。
写真が糸留めのダブルの裾。

■糸留め

すっきり綺麗な見た目、ただしブラッシングはしづらい

■スナップ留め

ブラッシングがしやすい、しかし厚みがある分少し浮いたような感じになる

昔からエミネントで働いてきた私としては、糸留めは埃が取りにくく、ブラッシングしやすいスナップボタン留めにしておくことをおすすめしていました。
しかし、どうでしょう?糸留めの方が俄然裾口の収まりがよく、すっきりと見えませんか?
また、アイロンがけをすると、いわゆるアタリが出て身生地が光ってしまい、美しいパンツの佇まいでは無くなります。

フォーマルスラックスの場面ではダブルの裾はNG

このダブル、結婚式にお呼ばれした場合なども含めたフォーマルの場面ではNGとなります。

例えばフォーマルの最高峰、燕尾服やモーニング、それからタキシードなどの服ももちろんシングルになっていて、折り返されてはいないですよね。

もちろんスーツを着て結婚式に行く場合でも、ダブルを選ばない方が良いんです。

カジュアルな2次会や、いわゆる略礼服の範疇でスラックス単品を着用される方もいらっしゃいます。

いわずもがな、この場合でもスラックスの裾はダブルにしない方が賢明です。

スラックスの裾はダブルがおすすめ

ダブルの裾のはじまりはボート遊び

1897年、英国でボート遊びが流行ったそうです。

ブレザーにカンカン帽を被り、テムズ河はボートでいっぱいでした。

テムズ河は長い、そして幾重にもダムのようにせきとめられていました。

そこを、4日くらいかけてボートで楽しむボート旅行です。

空気も良い中、ボート漕ぎは体力も使うから運動もできて静けさも楽しめます。

途中途中、そのせきとめられた箇所にはホテルやレストランもあったり。

自由に水辺でキャンプするのもいい。

ボート遊びができる身分というアピール

さて、男性たちは白いフランネルのパンツを穿いていました。

夏でも、基本的に白のフランネルだったそうです。基本的にスポーツをするときは、白いパンツを着用しなければならないのだとか。

白いパンツを穿くといっても、夏でも白い薄手のウーステッド(梳毛)ウールがないので、夏でもフランネルだったようです。

白のフランネルのパンツは、汚さないように、そして足さばきを良くするために裾をサッと折り返した。これがスラックスの裾のダブルのはじまりです。

ボートを降りると、折り返した部分は元に戻したが、ボートで遊ぶということ自体が粋だったため、さりげなく戻さなかった紳士もいたのは想像に難くない。私はボート遊びをするほど余裕のある身分なのです、というさり気ないアピールではないか・・・!?

ちなみに、こんなユニークな話もある。

とある雨の日、ファッショナブルな英国紳士がアメリカのパーティに駆け付ける。

なかなかファッショナブルな英国紳士は、スラックスの裾を濡らしたくなかった。
それで、その時一時的に、穿いていたパンツの裾をロール・アップして、濡らさないように歩いていました。

そうしてパーティ会場に到着したのですが、
うっかりこのロール・アップを戻すのを忘れ、そのままパーティに参加してしまった。

それを見たアメリカ紳士たちが、
素敵な新しい英国ファッションに違いない、と噂し、
新聞記者がその風景を撮ったものだから、広がった、という話です。

ボート遊び=カジュアルパンツ

さて、なぜ結婚式などの式典をはじめとする、フォーマルスラックスのシーンではこのダブルの裾はNGなのだろう?

モーニングコートの時に穿く、コールパンツやタキシードのパンツも裾がダブルになっているものは見たことがないですよね。

ここでボート遊びについて考えてみると、屋敷での食事や公式なパーティーではなく、ボートという屋外の遊びの際から始まったパンツのダブル。

ということで、フォーマルな場には相応しくないということなんです。

ただ単純に、

・ダブル=結婚式で穿くのはNG

と考えるよりも、どうしてそういう風に着られているか?という背景がわかると、面白いですよね。

それでは、シングル、ダブル、それぞれどんなメリットがあるのだろう?

ダブルのメリットは?

スラックスの裾はダブルがおすすめ

まず、重みをつけて裾を綺麗に落とせる。

薄手の夏のスラックスに有効なんです。
夏のスラックス生地は薄いので、裾に重みをつけて、パンツの裾のたるみを少なくし、シルエットを美しく魅せる効果がある。とはよくオサレな人たちが常套句としています。

また、最近ではパンツの裾が細くなったため、
裾が長めだとクッション量が多くなり、もたついた印象になる。
そこで短めの丈、特にカジュアルの場合はパンツの丈が極端に短いトレンドになっているのですが、
この場合に裾をダブルにすると、バランス良く見えるというのも一理あり。

ここにポイントが隠れていますが、カジュアルな印象が強くなるということ。

カジュアルなチェック柄のスラックスの裾などは、ダブルにしてみるとカジュアル感にマッチする。

シングルのメリットは?

スラックスの裾はダブルがおすすめ4

ダブルよりも足が長く見える・・・

そんなことはありません!

そこまで影響はないようにも思いますが、注意が必要なのはダブルの折り返し幅

身長に対して幅が広すぎると、確かに感じる部分ではあります。

そして、シングルは何といっても、フォーマルスラックスに対応したものであるということ。

ダブルの折り返し幅は太めにするのがトレンドですが、身長とのバランスは客観的に判断してくださいね。
わからなければ、お気軽にエミネントスタッフにおたずねください。

ダブルの幅もいろいろ

スラックスの裾はダブルがおすすめ

実は、ダブルの幅もいろいろなものがあります。

既製服では、4センチ〜4.5センチの設定が多い。

折り返した部分が長ければ長いほど際立ち、足の長さの見え方が変わる・・・なんてよく言われます。

オーダーメイドでスラックスを仕立てる場合などは、身長とのバランスでダブルの長さを作り手と話してみるとおもしろいですよ。

オーダースラックスならエミネントのパターンオーダーがおすすめ

オーダーメイドスラックスのおすすめ

私たちも、オーダーメイドでスラックスを提案する時に、場合によっては3センチや3.5センチという既製品ではあまり見かけないダブル幅をご提案させていただくこともあります。
長身の方でない限り、ダブルの幅は短めの方がスマートです。

シングルの裾からダブルの裾に修理できるってご存知でしたか?

ちなみに、スラックスのシングルの裾でも裏側に折り返された部分があります。

この部分を使って、ダブルにすることもできなくはない

とはいっても折り返された部分だけでは足りないことも事実。

もし同じ生地があれば、表にダブルっぽく生地を縫い付ける、という裏技が存在するんです。

残念ながらエミネントの工場ではこのような修理を承ることは出来ませんが、

ご希望の場合は、腕の良い修理屋さんが実はデパートには多数在籍しているんです。

困ったら店頭のエミネントスタッフに相談してみてください。

まとめ

スラックスの裾、ダブルはボート遊びから始まった仕様。

もともとがアウトドア仕様なので、結婚式などのフォーマルな場には向いていない。

しかし今のファッショントレンドはダブルで間違いないので、フォーマルな場面以外では
自由に楽しんでいただきたい。

そして、ダブルという言葉は和製英語である。
ターンナップカフやターナップスというのだが、ターニップと解釈した日本人洋服師が意味を調べたら、カブラだということがわかって、カブラと呼ばれるようになった。今でも日本の職人でカブラと呼ぶ人は少なくない。

シングル、ダブル、それぞれメリットもあるし、ダブルの折り返し幅にもこだわってみると面白い。

ぜひスラックスを新調する際には、裾を一度チェックしてみてくださいね。